会員の皆様へ

2024年8月24日 2024年度 十七世紀英文学会 全国大会・総会・懇親会の御案内

2024年度全国大会(第13回)および総会のお知らせ

全国大会および総会を関西学院大学 大阪梅田キャンパスにて開催いたします。

日時:2024年9月14日(土) 13時30分~17時00分
場所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス 1004教室(アプローズタワー10階)
https://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access(「アップローズタワーエレベーター」をご使用ください。HP下部を参照)

 


全国大会(第13回)プログラム

【開会のあいさつ(13:30-13:35)】 会長:岩永 弘人

【研究発表(13:35-16:45)】

1. 13:35~14:15
ウィリアム・ペティの教育パンフレット―合理主義、インフラ整備、人文主義のはざまで  菅野 智城(東北支部)
司会: 川田 潤

2. 14:20~15:00
宮廷仮面劇と王権  田村 真弓(東京支部)
司会:伊澤 高志

3. 15:05~15:45
働き得ぬ辛さ―worksを巡るジョージ・ハーバートの詩  西川 健誠(関西支部)
司会:西野 友一朗

【閉会のあいさつ(15:45-15:50)】 事務局長:金﨑 八重


研究発表要旨

ウィリアム・ペティの教育パンフレット―合理主義、インフラ整備、人文主義のはざまで
菅野 智城(東北支部)

 ハートリブ・サークルから出版されたペティのThe Advice of William Petty to Mr. Samuel Hartlib for the Advancement of Some Particular Parts of Learning(1648)は、伝統的な教養教育や読み書き教育ではなく、観察や実験による体験学習、そして貧民救済を目的とした職業訓練的な実践教育に重点を置いている。ペティの教育パンフレットでは合理的な教育改革案、能力に応じた段階的な教育施設がデザインされているものの、同サークルから出版された、教育の本質的な意義を論じるミルトンのOf Education(1644)ほどの影響力をもつには至らなかった(Webster)。しかしながら、科学技術が決定的な地位を確立する以前のイングランド内乱期にあって、職人技術から高等研究にいたる、あらゆるレベルの科学技術の制度の統合、すなわち教育研究のインフラ整備を説いている点において、ペティは先駆的な存在であると言える。
本発表では、知的エリートでもあるペティの教育改革案の合理主義的な内容を検証しつつ、その一方で人文主義的なアプローチの入り込む余地について考察したい。

 

 宮廷仮面劇と王権
田村 真弓(東京支部)

 17世紀のイギリスで隆盛を極めた宮廷仮面劇(court masque)は、その源泉を、仮面(mask)を用いた古代の民衆祝祭に遡ることができる。ヨーロッパに遍在した農業祭式において、仮面をつけた仮装者が近隣を行進したり、死と復活の劇を演じたりして、豊穣を願ったとされる。こうした古代の仮面の祝祭は、季節の周回と生と死の循環にまつわる原初の宗教儀式であった。しかし、ジェームズ一世(James I, 1566-1625)の統治下で、劇作家ベン・ジョンソン(Ben Jonson, 1572-1637)と舞台装置家イニゴー・ジョーンズ(Inigo Jones, 1573-1652)の協力関係により、仮面の祝祭は、豪華な衣装や舞台装置、歌、踊り、音楽といったスペクタクル性を持つ華やかな宮廷祝祭へと大きな発展を遂げた。本発表では、本来、民衆の儀式であった仮面の祝祭が、ステュアート朝の宮廷で、どのようにして王権の発露として機能し、絶対王政の確立と強化に寄与したのかを検証したい。

 

 働き得ぬ辛さ ―worksを巡るジョージ・ハーバートの詩
西川 健誠(関西支部)

 信仰者の生活において働き/行いは両義的たり得る。聖書は天分を活用し神のため働くよう説く(マタイ14:19-31他)一方、救済は信仰に懸かるとも説き(ロマ3:27他)、行いに恃む事を戒めるからだ。17世紀のプロテスタント圏の信仰者にとり、事態はさらに複雑であった。恩寵の強調と一体の行い(works)の意義の否定から出発したプロテスタンティズムは、召命という形での働き(works)に専心する事を救済に選ばれた徴として認めるに至る。では働き得ぬ――少なくとも望むように働き得ぬ――信仰者はどうすればよいのか。
本発表は働き/行いに関わるジョージ・ハーバートの詩を扱う。望む働き場を得ない状態を嘆く詩(“Employment(I)”, “Employment(II)”)も、そういう嘆きに我意への拘泥を認める詩(“Submission”)も、望む通りに働き得ぬ苦悩をキリストの苦悩と重ねて受容する決意を示した詩(“The Cross”)もある。だが最も注目すべきは、受容の決意にも拘わらず、最後まで働き/行いへ拘泥する自らの姿を晒している詩(“The Forerunners”)だ。そこには宗教詩人が陥りがちな綺麗事に陥らないハーバートの誠実が見られる。

 


2024年度総会総次第(16時00分~17時00分)

【報告・連絡事項】
1 各支部活動報告
2 編集委員会報告
3 2023年度会計報告(資料は当日配布)
4 規約の脱字修正報告
5 その他
【審議事項】
1 住所録整理について
2 HP委員の任期について
3 会計監査委員について
4 全国大会開催地について
5 オンラインジャーナル(年報)の創設について
6 日本学術会議協力学術研究団体加盟について
7 その他

 


懇親会のお知らせ

日時:2024年9月14日(土)17時30分~ 19時30分
場所:ステーキ&ワイン グリアンテ梅田
大阪府大阪市北区芝田1-3-1 ギャザ阪急 2F tel: 050-5597-4116
関西学院大学 大阪梅田キャンパスから徒歩5~6分

https://tabelog.com/osaka/A2701/A270101/27110774/

参加費:6,500円

懇親会出席のご希望は8月30日(金)まで各支部事務局にご連絡ください。

2024 Newsletter No.2

2024年5月14日 十七世紀英文学会関西支部第226回例会のお知らせ

十七世紀英文学会関西支部第226回例会を以下の通り開催いたします。

日時:6月15日(土) 午後2時半-5時
講師:丹羽佐紀氏
題目:「錬金術と消費社会 ―『錬金術師』におけるいかさまの効果―」
開催形式:対面形式
場所:関西学院大学 梅田キャンパス1406号室

※例会にて発表をご希望の方は、事務局までご一報くださいますようお願い申し上げます。

十七世紀英文学会 関西支部事務局 西野友一朗
E-mail: ynishino.chee【アットマーク】gmail.com

2024年3月17日 十七世紀英文学会関西支部第225回例会のお知らせ

十七世紀英文学会関西支部第225回例会を以下の通り開催いたします。

日時:3月23日(土) 午後2時半-5時
講師:大久保友博氏
題目:「妖猫Graymalkin/Grimalkinの事情――MacbethおよびBeware the Catの周辺から」
開催形式:対面形式
場所:関西学院大学 梅田キャンパス1005号室

※例会にて発表をご希望の方は、事務局までご一報くださいますようお願い申し上げます。

十七世紀英文学会 関西支部事務局 友田奈津子

2024年3月2日 十七世紀英文学会東北支部2023年度第2回 3月例会御案内

十七世紀英文学会東北支部2023年度第2回例会 3月例会を下記の通り開催いたします。

第2回例会
日時:2024年3月23日(土)14:00〜
講師:菅野 智城 氏
題目:「ミルトンとペティ、人文主義とものづくり ― ハートリブ・サークルをめぐる2つの教育パンフレット ―(仮)」

※Zoomでの開催となります。東北支部以外の会員の方でオンライン参加ご希望の方は、東北支部・古河(furukawa.mikiko [at] nihon-u.ac.jp)までご連絡ください。

十七世紀英文学会 東北支部事務局 古河美喜子

2023年12月14日 十七世紀英文学会論集(21号)投稿論文募集について

十七世紀英文学会 会員の皆様

論集第21号について以下のように決まりました。学会活性化のためにもぜひ多くの方からのご投稿をお待ちしています。

タイトル・テーマ:『十七世紀英文学と世界』
執筆希望締切日:2024年3月31日(今回から新しく設定しました、詳細はpdfファイルをご覧ください)
原稿提出締切日:2025年3月31日
刊行予定:2025年8月30日(予定)
送付先:各支部編集委員宛

テーマの詳細、執筆希望締切日、投稿規定、投稿先は、pdfファイルをご参照ください。

皆様の投稿をお待ちしております。

論集編集委員会

 

[PDF] Call for Papers(論集21号)

2023年11月20日 十七世紀英文学会関西支部第224回例会のお知らせ

十七世紀英文学会関西支部第224回例会を下記の通り開催いたします

日時:12月23日(土) 午後2時半-5時
講師:圓月勝博氏
題目:「アメリカがまだイギリスだった頃―17世紀ピューリタン女性詩人アン・ブラッドストリート」
開催形式:対面
場所:同志社大学 室町キャンパス 寒梅館6階大会議室

(関西支部以外の会員の方で参加ご希望の方は、関西支部・友田( tnatsuko [at] kansaigaidai.ac.jp )までご連絡ください)
それでは、例会にてお目にかかれるのを楽しみにしております。

十七世紀英文学会 関西支部事務局 友田奈津子

2023年11月1日 新刊・研究情報更新のお願い

十七世紀英文学会HPの「会員による新刊情報」と「会員による最新研究情報」のアップデートを年2回実施することになっております。

春期(4月または5月)には各支部において、また秋期(11月または12月)にはHP委員においてデータを回収いたします。

会員の皆様による研究業績を内外に知らせる良い機会となりますので、ぜひともご協力お願いいたします。

 

つきましては、11月末日までに、会員による新刊・研究情報を以下のメールアドレスまでお寄せください。

また過去5年間の業績で、HP上のリストから漏れ落ちているものがあればぜひお知らせください。

*なお「新刊」画像に関して掲載ご希望の方は、お手数ですが出版元に連絡を入れた上でHP委員宛に表紙画像を送っていただくか、版元ドットコムなど利用可能な書影が提供されている当該書籍URLをお知らせくださいますようお願いいたします。

 

学会HP委員 大久保友博
“Tomohiro OKUBO” <a14216【アットマーク】mail.ryukoku.ac.jp>

2023年8月23日 2023年度 十七世紀英文学会 全国大会・総会・懇親会の御案内

2023年度全国大会(第12回)および総会のお知らせ

全国大会および総会を立正大学にて開催いたします。

日時:2023年9月16日(土) 13時30分~17時00分
場所:立正大学 品川キャンパス 9号館地下1階 9B11教室
   当日は「山手門」が閉まっておりますため、「正門」からお入りください。

 


全国大会(第12回)プログラム

【開会のあいさつ(13:30-13:35)】 会長:佐々木 和貴

【研究発表(13:35-16:45)】

1.13:35-14:15
 ジョン・ミルトンの「竜の歯」での検閲制度への抵抗 川﨑 和基(東北支部)
 司会:菅野 智城

2.14:20-15:00
 ジョン・ダンの「ごた混ぜの現実そのままの教会」と保守主義 曽村 充利(東京支部)
 司会:伊澤 高志

3.15:05-15:45
 リバティニズムからの逃亡― ‘Against Fruition’ とアフラ・ベーン 竹山 友子(関西支部)
 司会:友田 奈津子

【閉会のあいさつ(15:45-15:50)】 事務局長:川﨑 和基
 


研究発表要旨

ジョン・ミルトンの「竜の歯」での検閲制度への抵抗
川﨑 和基(東北支部)

 ジョン・ミルトンはAreopagitica(1644)において、書物の持つ力について説く。書物には良書と悪書があり、教会も国家も、悪書を取り締まろうとしているが、書物は良書であれ悪書であれ、書物自体に命の力が含まれており、悪書も命をあたえるものであるのと主張する。この書物の力を封じ込めようとする、長期議会が1643年6月14日に発布した「印刷の規制に関する法令」をミルトンは議会に撤廃すべきであると非難する。ミルトンは「出版に関する星室庁令」(1637)、さらには、印刷取り締まりの目的や検閲人、特にカンタベリー大司教ウィリアム・ロードや書籍業カンパニーについて、また、書籍業カンパニーの検閲制度に係わる思惑や出版事情を十分認識して、「印刷の規制に関する法令」に異を唱えた。本発表では、Areopagiticaを中心にして、星室庁廃止(1641)に伴う事前検閲制度の機能の低下から噴出した書物・パンフレットの持つ力を抑制しようとする議会の法令に、「竜の歯」(Dragons Teeth)を持つ書物をして抗うというミルトンの主張を考察しながら、書物・パンフレット戦争の黎明期にミルトンがいかに対峙したのか再考したい。

 

ジョン・ダンの「ごた混ぜの現実そのままの教会」と保守主義
曽村 充利(東京支部)

 ダンは英国国教会のヴィア・メディアの擁護者であった。国教会思想(アングリカニズム)はカルヴィニズムとイエズス会という二つの極端な信条や信仰告白との対峙のなかで形成されていった。宗教戦争、テロ、教会分裂、内乱、アナーキーなどの脅威にさらされるなか、イングランドの分裂を防ぎ、秩序と自由を守るための保守主義であった。国教会は祈祷書による礼拝の統一を法的に求める一方で、教義上の対立を嫌って定義を避け信仰告白を強制せず、カトリック教徒と異端以外のあらゆる者を寛容に包容しようとした。この時代に「ダンのごた混ぜの現実そのままの教会」(T. Betteridge)が現出したことは自然であった。ダンは国教会のありようを不決定性と共に重層的に表現し擁護しているように見える。詩と散文の世界は深く大きいが、必ずしも論理的ではなく相矛盾する意見や発想を含み、しばしば複雑で曖昧である。当然、このようなアングリカニズム理解を受け入れ難い論者の中には、ダンの信仰を疑い、著作は「不統一な学識の巨大な寄せ集め」であると見なす者もいる。非告白主義、無関心ごと、エラスムス的世界教会主義、包容主義、平和主義、妥協、王権神授説物等の論点や人脈から、ダンの保守主義を再考する。

 

リバティニズムからの逃亡― ‘Against Fruition’ とアフラ・ベーン
竹山 友子(関西支部)

 王政復古期に活躍した女性作家アフラ・ベーンは劇作家として有名であるが、同時に多くの詩を執筆して発表している。時にジェンダー規範を逸脱するようなエロティックな表現を用いる彼女の詩は、王政復古期特有の性的放縦を是とするリバティニズムの反映とみなされることが多い。その一方で、17世紀には主に男性詩人によって執筆された、欲望成就の達成感を否定する ‘Against Fruition’ と呼ばれるジャンルの詩が流行し、その流れは王政復古期に入っても続いた。アフラ・ベーンも‘Against Fruition’ に属する詩 “To Alexis in Answer to his Poem against Fruition. ODE”(1688)を執筆している。本発表では、‘Against Fruition’ の詩群におけるベーンの詩の位置づけを確認した上で、上述の詩だけでなく ‘Against Fruition’ に直接関連していると思われない詩も取り上げながら、ベーンにとっての ‘Against Fruition’ の意味を問い直したい。

 


2023年度総会総次第(16時00分~17時00分)

【報告・連絡事項】
 1 各支部活動報告
 2 編集委員会報告
 3 2022年度会計報告(資料は当日配布)
 4 その他
【審議事項】
 1 次期会長選任
 2 次期本部役員選任
 3 オンラインジャーナルの創設 および 日本学術会議協力学術研究団体加盟について(資料は当日配布)
 4 その他
  (1)転載許可について
  (2)その他

 


懇親会のお知らせ

日時:2023年9月16日(土)17時30分~ 19時30分
場所:ヤオロズクラフト(立正大学より徒歩10分ほど)
   https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/13247587/
参加費:7,000円

懇親会出席のご希望は9月3日(日)まで各支部事務局にご連絡ください。

2023 Newsletter 第2号(ウェブ掲載用)

2023年7月11日 十七世紀英文学会東北支部2023年度第1回 8月例会御案内

十七世紀英文学会東北支部2023年度第1回例会 8月例会を下記の通り開催いたします。

第1回例会
日時:2023年8月9日(水)14:00〜
講師:佐々木 和貴 氏
題目:「シェイクスピアのMeasure for Measureについて(仮)」
開催形式:対面
場所:にぎわい交流館AU 研修室5(〒010-0001 秋田市中通一丁目4番1号)

※終了後に懇親会を予定しております。

十七世紀英文学会 東北支部事務局 古河美喜子

2023年6月26日 Call for Papers, Global Macbeth

会員の山本真司先生から、 投稿論文募集についてのお知らせをいただきましたので、ここに転載いたします。


 
十七世紀英文学会 会員各位

ロンドン大学名誉教授のサンドラ・クラーク先生より、投稿論文募集のお知らせをいただきました。詳しくは以下のクラーク先生のメッセージと添付のCFPをご覧ください。

I am writing with a request. Professor W Reginald Rampone of the State University of South Carolina and I are planning to put together a collection of papers under the title ‘Global Macbeth’. I’m attaching our Call for Papers, and if it could get wide dissemination, we should be very gratefull. Abstracts for Japan would be extremely welcome. Professor Rampone and I are already getting plenty of interest in the project, and we are very keen to have contributors from Japan, where productions of Macbeth (e.g Kurosawa’s film, Ninagawa’s stage play) have been so important.

添付PDFファイル(Call for Papers, Global Macbeth

クラーク先生と言えば、 2019年11月に東京や関西、広島においてご講演をいただきましたので、ご記憶の方も多いかと存じます。(講演内容については、以下の2論文をご参照ください)

1 Shakespeare and Domestic Economy
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00049016

2 Culture in Translation in Early Modern England : Shakespeare, Hollyband and Florio
https://www.agulin.aoyama.ac.jp/repo/repository/1000/21532/

また、クラーク先生は『マクベス』アーデン版第三版の編者のお一人でもあり、同作品には特に造詣が深く、今回の企画も大変楽しみにしていると伺っております。本学会とのご縁もございますので、皆様に広くご案内を差し上げる次第です。

山本真司