会長挨拶
今期より会長を仰せつかりました竹村はるみです。エリザベス朝文学を主たる研究対象とする私は、17世紀英文学研究を掲げる本学会では何となく後ろめたい思いが常にあります。最近になってようやく、エリザベス一世の最晩年に関心を持ち始めたものの、なかなか17世紀まで達することができずにいるのが現状です。
にもかかわらず、この由緒ある学会の会長という大役をお引き受けした理由は、ひとえにここで出会った先生方への尽きぬ感謝の気持ちからです。自分を研究者として育ててくれたのは研究会や学会であると常々思っておりますが、特にこの17世紀英文学会と関西シェイクスピア研究会は、関西の双璧を成す組織で、大学院の最終学年の時に緊張の面持ちでこの2つの会の門を叩いたことは、私にとって研究者としての大事な一歩となりました。会長という大役が無事に務まるのかという不安はございますが、自分がこれまで受けた学恩に報いる貴重な機会を与えて頂いたことに深く感謝致しております。
30年前に入会した当時、黒田健二郎先生、杉本龍太郎先生、藤井治彦先生がにこやかに談笑される17世紀英文学会は、(時に罵声も飛びかう強面で知られた関西シェイクスピア研究会とは対照的に)鷹揚な雰囲気に満ちていました。そこに流れていたのは、年齢や性別や出身大学の垣根はもちろん研究者としての実績の有無も超えて、一研究者として互いに敬意をもって啓発しあう姿勢でした。17世紀英文学会の例会での質疑応答が発言しやすく盛り上がるのは、こうした会の精神が今も息づいているからだと思っております。
組織の運営はある程度ルーティン化するものですが、昨今は教育の現場と同様、学会運営もいやおうなしに変化を迫られる時代となりました。複数の選択肢があると、合意を形成する難しさに直面することになりますが、同じ分野の研究を志す者同士の絆があれば、おのずと最善の道が見つかるのではないかという楽観的な信念がございます。事務局の先生方のお力を借りながら、そして会員の皆様のご理解とご協力を仰ぎながら、誠心誠意務めて参りますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
竹村 はるみ