新着情報

2025年8月13日 2025年度 十七世紀英文学会 全国大会・総会・懇親会の御案内

2025年度全国大会(第14回)および総会のお知らせ

全国大会および総会を東北福祉大学 仙台駅東口キャンパスにて開催いたします。

日時:2025年9月14日(日) 14時00分~17時00分
場所:東北福祉大学 仙台駅東口キャンパス7階71教室
https://www.tfu.ac.jp/tushin/access/

 


全国大会(第14回)プログラム

【開会のあいさつ(14:00~14:05)】 会長:岩永 弘人

【研究発表(14:05~16:15)】

1. 14:05~14:45 司会: 川田 潤(東北支部)
『メアリ・ロウスの描き方:視覚的表現を通した世界観の形成』               青木 愛美

2. 14:50~15:30 司会:伊澤 高志(東京支部)
サタンの声は誰のものか ——『失楽園』における語りの拡散と消失          松村 祐香里

3. 15:35~16:15 司会:西野 友一朗(関西支部)
シェイクスピアのソネット集とベン・ジョンソンの『エピシーン』における沈黙           藤澤 博康

【閉会のあいさつ(16:15~16:20)】 事務局長:金﨑 八重


研究発表要旨

『メアリ・ロウスの描き方:視覚的表現を通した世界観の形成』
青木 愛美(東北支部)

 17世紀イングランドの女性詩人メアリ・ロウス(Mary Wroth)の作品には、視覚的表現を通じて、女性の「語り」と「沈黙」が共存する独自の詩的空間が形成されている。本発表では、ソネット連作Pamphilia to Amphilanthusの語り手であり、散文ロマンスThe Countess of Montgomery’s Uraniaにも登場するパンフィリアの内面とその視覚的表現に注目し、ロウスがObedience・Silence・Chastityといった当時の女性に求められた社会的規範のもとで、どのようにして主体的な表現のあり方を模索したのかを考察する。とりわけ、詩における「黒」や「暗闇」の視覚的イメージが、悲しみを象徴するだけでなく、感情をほのめかす両義的な装置として機能している点を分析する。また、Uraniaにおける詩を木に刻む行為や、衣服の刺繍、庭や迷宮といった視覚的・物質的要素は、内面の声を静かに浮かび上がらせる手段となっている。こうしたモチーフを通じて、ロウスが、女性が沈黙しながらも語ることのできる場を詩の中に築いていたことを明らかにしたい。

 

サタンの声は誰のものか ——『失楽園』における語りの拡散と消失
松村 祐香里(東京支部)

 ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』における語りの構造に着目し、サタンの語りがどのように他者に伝播し、最終的に語り手としての主体性を失っていくかという逆説的なプロセスを検討する。サタンは、まず地獄での演説において「天国で奴隷になるより、地獄で王になろう」と語り、反乱を正当化して堕天使たちを鼓舞する。また、誘惑の言葉によってイヴの認識を変化させ、神に背かせる。彼女もまたその語りを自分自身の経験として語り直し、アダムへと連鎖的に伝えていく。このように『失楽園』では、語りが拡散しながら他者を変化させる一方で、その過程において語りの起源は忘却され、語り手の主体性は空洞化していく。さらに、神による罰によって、サタンは言葉そのものを失い、語り手としての地位を剥奪される。本発表では、誘惑の語り・模倣・伝播といった要素を通して、『失楽園』が叙事詩における語りの力とその限界をいかに批判的に書いているかを明らかにする。

 

 シェイクスピアのソネット集とベン・ジョンソンの『エピシーン』における沈黙
藤澤 博康(関西支部)

 シェイクスピアのソネット集は1609年に四つ折り版が出版された。また、この年、あるいは翌年には、ベン・ジョンソンの『エピシーン、あるいはもの言わぬ女』も上演されたとされている。沈黙を主要なテーマに含む、これらの作品がほぼ同時期に出版、あるいは上演されたという事実はたんなる偶然にしては興味深い。
 シェイクスピアのソネット集のいくつかのソネットでは、華やかな修辞を駆使して「若者」を賛美するライヴァル詩人(たち)とは対照的に、詩人は「若者」の崇高なる美徳を、沈黙をもって逆説的に称賛しようとする。それに対して、ジョンソンは『エピシーン』で主人公モロースの病的な騒音嫌悪、そして沈黙への執着を、滑稽なほどまでに風刺的に描いている。
 同時代のライヴァルでもあった、これら二人の作家が扱う沈黙はなぜこれほどまでに異なっているのであろうか。本発表では、作家が表現の自由を抑圧されて沈黙を強いられざるをえなかった当時の時代背景、両テクストでの両性具有的な「若者」/少年俳優に年長者が翻弄される姿、シェイクスピアとジョンソンのライヴァル関係に注目しながら、両作家の描き出す沈黙について考察を行う。


2025年度総会総次第(16時30分~17時00分)

【報告事項】
1. 各支部活動報告
2. 編集委員会報告
3. 2024年度会計報告(資料は当日配布)
4. 2024年度総会決議による規約の修正報告
5. 会長・事務局交代報告
6. 次期会長挨拶
7. その他
【審議事項】
1. 日本学術会議協力学術研究団体加盟・オンラインジャーナルについて
2. その他

 


懇親会のお知らせ

日時:2025年9月14日(日)18時00分~20時00分
場所:TFU Cafeteria Olive (大会会場1階)
仙台市宮城野区榴岡2-5-26 東北福祉大学仙台駅東口キャンパス1F Tel: 022-762-7827

参加費:5,000円

懇親会出席のご希望は8月27日(水)まで各支部事務局にご連絡ください。

2025 Newsletter No.2