新着情報
2023年8月23日 2023年度 十七世紀英文学会 全国大会・総会・懇親会の御案内
2023年度全国大会(第12回)および総会のお知らせ
全国大会および総会を立正大学にて開催いたします。
日時:2023年9月16日(土) 13時30分~17時00分
場所:立正大学 品川キャンパス 9号館地下1階 9B11教室
当日は「山手門」が閉まっておりますため、「正門」からお入りください。
全国大会(第12回)プログラム
【開会のあいさつ(13:30-13:35)】 会長:佐々木 和貴
【研究発表(13:35-16:45)】
1.13:35-14:15
ジョン・ミルトンの「竜の歯」での検閲制度への抵抗 川﨑 和基(東北支部)
司会:菅野 智城
2.14:20-15:00
ジョン・ダンの「ごた混ぜの現実そのままの教会」と保守主義 曽村 充利(東京支部)
司会:伊澤 高志
3.15:05-15:45
リバティニズムからの逃亡― ‘Against Fruition’ とアフラ・ベーン 竹山 友子(関西支部)
司会:友田 奈津子
【閉会のあいさつ(15:45-15:50)】 事務局長:川﨑 和基
研究発表要旨
ジョン・ミルトンの「竜の歯」での検閲制度への抵抗
川﨑 和基(東北支部)
ジョン・ミルトンはAreopagitica(1644)において、書物の持つ力について説く。書物には良書と悪書があり、教会も国家も、悪書を取り締まろうとしているが、書物は良書であれ悪書であれ、書物自体に命の力が含まれており、悪書も命をあたえるものであるのと主張する。この書物の力を封じ込めようとする、長期議会が1643年6月14日に発布した「印刷の規制に関する法令」をミルトンは議会に撤廃すべきであると非難する。ミルトンは「出版に関する星室庁令」(1637)、さらには、印刷取り締まりの目的や検閲人、特にカンタベリー大司教ウィリアム・ロードや書籍業カンパニーについて、また、書籍業カンパニーの検閲制度に係わる思惑や出版事情を十分認識して、「印刷の規制に関する法令」に異を唱えた。本発表では、Areopagiticaを中心にして、星室庁廃止(1641)に伴う事前検閲制度の機能の低下から噴出した書物・パンフレットの持つ力を抑制しようとする議会の法令に、「竜の歯」(Dragons Teeth)を持つ書物をして抗うというミルトンの主張を考察しながら、書物・パンフレット戦争の黎明期にミルトンがいかに対峙したのか再考したい。
ジョン・ダンの「ごた混ぜの現実そのままの教会」と保守主義
曽村 充利(東京支部)
ダンは英国国教会のヴィア・メディアの擁護者であった。国教会思想(アングリカニズム)はカルヴィニズムとイエズス会という二つの極端な信条や信仰告白との対峙のなかで形成されていった。宗教戦争、テロ、教会分裂、内乱、アナーキーなどの脅威にさらされるなか、イングランドの分裂を防ぎ、秩序と自由を守るための保守主義であった。国教会は祈祷書による礼拝の統一を法的に求める一方で、教義上の対立を嫌って定義を避け信仰告白を強制せず、カトリック教徒と異端以外のあらゆる者を寛容に包容しようとした。この時代に「ダンのごた混ぜの現実そのままの教会」(T. Betteridge)が現出したことは自然であった。ダンは国教会のありようを不決定性と共に重層的に表現し擁護しているように見える。詩と散文の世界は深く大きいが、必ずしも論理的ではなく相矛盾する意見や発想を含み、しばしば複雑で曖昧である。当然、このようなアングリカニズム理解を受け入れ難い論者の中には、ダンの信仰を疑い、著作は「不統一な学識の巨大な寄せ集め」であると見なす者もいる。非告白主義、無関心ごと、エラスムス的世界教会主義、包容主義、平和主義、妥協、王権神授説物等の論点や人脈から、ダンの保守主義を再考する。
リバティニズムからの逃亡― ‘Against Fruition’ とアフラ・ベーン
竹山 友子(関西支部)
王政復古期に活躍した女性作家アフラ・ベーンは劇作家として有名であるが、同時に多くの詩を執筆して発表している。時にジェンダー規範を逸脱するようなエロティックな表現を用いる彼女の詩は、王政復古期特有の性的放縦を是とするリバティニズムの反映とみなされることが多い。その一方で、17世紀には主に男性詩人によって執筆された、欲望成就の達成感を否定する ‘Against Fruition’ と呼ばれるジャンルの詩が流行し、その流れは王政復古期に入っても続いた。アフラ・ベーンも‘Against Fruition’ に属する詩 “To Alexis in Answer to his Poem against Fruition. ODE”(1688)を執筆している。本発表では、‘Against Fruition’ の詩群におけるベーンの詩の位置づけを確認した上で、上述の詩だけでなく ‘Against Fruition’ に直接関連していると思われない詩も取り上げながら、ベーンにとっての ‘Against Fruition’ の意味を問い直したい。
2023年度総会総次第(16時00分~17時00分)
【報告・連絡事項】
1 各支部活動報告
2 編集委員会報告
3 2022年度会計報告(資料は当日配布)
4 その他
【審議事項】
1 次期会長選任
2 次期本部役員選任
3 オンラインジャーナルの創設 および 日本学術会議協力学術研究団体加盟について(資料は当日配布)
4 その他
(1)転載許可について
(2)その他
懇親会のお知らせ
日時:2023年9月16日(土)17時30分~ 19時30分
場所:ヤオロズクラフト(立正大学より徒歩10分ほど)
https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131603/13247587/
参加費:7,000円
懇親会出席のご希望は9月3日(日)まで各支部事務局にご連絡ください。