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2018年8月15日 平成30年度全国大会(第7回)・総会・懇親会のご案内

平成30年度全国大会(第7回)・総会・懇親会のご案内

 
2018年度全国大会(第7回)のお知らせ 
 
日時:2018 年 9 月 8 日(土)14:00~17:00 
(発表時間は各 30 分+質疑応答各 10 分+休憩 10 分) 
 
場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス 1405 号室 
〒530-0013 大阪市北区茶屋町 19-19 アプローズタワー14 階 
https://www.kwansei.ac.jp/kg_hub/access/index.html 
(4 ページの地図をご参照ください。) 

 

1 14:10~14:50 司会 川崎 和基

 ロチェスターと〈サル〉をめぐって

 生田 省吾

 グレアム・グリーンによる伝記(Lord Rochester’s Monkey, 1974)の標題が示唆するように、王政復古期の放蕩貴族・詩人ロチェスター (John Wilmot, Earl of Rochester, 1647-80) は、ある意味で〈サル〉にとりつかれた人物だったといえるかもしれない。実際、その作品・書簡には何度か〈サル〉(ape / monkey) への言及がなされているが、とりわけ興味深いのは〈サル〉とともに描かれた肖像画を制作させたことである。その肖像画(二つのバージョンがあり、うち一つは宮廷画家 Jacob Huysmans の手になるといわれている)には、向かって左側に〈サル〉――机上の本に腰かけ、右手は1冊の本を手ばさみ、左手はおそらくその本から引きちぎったのであろう紙片をロチェスターに差し出している――が、右側にロチェスター――やや斜めから顔をこちらに向け、右手で〈サル〉の頭上に月桂冠をかざし、左手に紙束をもっている――が描かれている。

貴族を描いたものとしては奇異な素材・構図であることから、この肖像画はロチェスターの風刺精神を現したもの、あるいは桂冠詩人ドライデンへのあてこすりを込めたものなどとみられがちである。ただ、そうした判断を考慮するにしても、とりわけ〈サル〉の描かれかた、つまり、その表情やポーズは、現代の感覚からすればいかにも不自然で露骨なほど人間臭い。しかも、この意匠は画家とモデルの双方の協議・合意に基づいて採用されたはずだし、くだんの絵を目にするであろう他者への効果――意外性と説得力――も計算づくであったと推測される。だとすれば、そうした計算は何に由来するのか。このとき、いわば17世紀の「〈サル〉観」に立ち入らざるをえなくなる。

図像としての〈サル〉に託された意外性と説得力を保証する母胎とは、〈サル〉をめぐるその時代の共通理解にほかならない。それを暗黙の前提とすることで、この肖像画は〈サル〉に対する視覚・感性・嗜好・思い込み・誤解など、一定の傾向を帯びた類型化ないしは博物誌の知見を必然的にはらんでしまったのではなかったろうか。

本報告は、時代の「〈サル〉観」の一端をたどるとともに、それをロチェスターの詩行などと照らし合わせることを通して、新たに見えてくるかもしれない、この肖像画の意味/意図を感得したいという、ささやかな試みである。

(当該の肖像画は、Rochester, Huysmans, portrait などのキーワードを入力することで、ネット上で閲覧できる。)

 

 

2 15:00~15:40 司会 河口 英治

          How sweet thoughts be, if that are but thought on Phillis!

              ―トマス・ロッジ『フィリス』のペトラルカ性―

                                       岩永 弘人

『お気に召すまま』の種本『ロザリンド』で有名なトマス・ロッジは、ソネット詩人でもあった。特に『フィリス』(1593)は、彼の連作ソネット詩集である。彼の詩の特徴はユーフィズムにあり、そこでこそ真価を発揮した。また彼は翻訳による仏文学、伊文学の紹介者でもあった。『フィリス』においても、彼はロンサールやサンナツァロなどの凝った文体を模倣し、比較的忠実に翻訳しているため、先行研究においては各ソネットのソース探しに時間が費やされてきた。そこで本発表では少し視点を変えて、純粋なペトラルキストとしてのソネット詩人ロッジの特質を見てみたい。その際、作家としてはトマス・ワトソン、作品としては『ロザリンド』を補助線としながら論を進めていきたい。主な論点は(1)彼のソネットがペトラルカ直系の性質を持っているのではという仮説(用語の抽象性、自然の扱い方など)、(2)ソネット文学と牧歌の関係性、になる予定。

 

3 15:50~16:30 司会 金崎 八重

楽園失格

―ミルトンと太宰の堕罪という題材―

圓月 勝博

太宰治(1909-48)には「HUMAN LOST」(1937)という短編小説がある。薬物中毒になって、東京武蔵野病院に入院させられたときの作者の体験を日記形式で綴った作品である。この題名を見て、ジョン・ミルトン (John Milton, 1608-74)の Paradise Lost (1667)を思い起こさなければ、十七世紀英文学会員失格であろう。「HUMAN LOST」という作品は、10年の時の流れを経て、薬物中毒となった主人公の入院で幕を閉じる『人間失格』(1948)という近代日本文学の金字塔に姿と名前を変える。太宰の流儀に従えば、Paradise Lost も『楽園失格』と訳すべきなのかもしれない。生まれた時代と場所が遠く離れているだけでなく、性格も生き方もまったく異なるミルトンと太宰を結びつけたものは、いったい何だったのか。暗く孤独な病室に幽閉されて、罪の意識に苛まれる太宰に寄り添うことによって、異質なものを結びつけて止むことのない十七世紀英文学の魅力をあらためて確かめてみることが本発表の目的である。

 

2018年度総会のお知らせ

  • 日時:2018年9月8日(土)16:45~17:15(全国大会終了後)
  • 場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス 1405号室(全国大会と同じ会場)

 

総 会 次 第

【報告・連絡事項】

1 各支部活動報告

2 編集委員会報告

3 2017年度会計報告(資料は当日)

4 その他

【審 議 事 項】

1 規約変更について

2 2020年度以降の全国大会、総会の開催日程について

3 その他

 

懇親会のお知らせ

本年度の懇親会は、大会・総会会場のビルに隣接するホテル阪急インターナショナル25階 スカイバンケット「ソラメンテ」にて開催いたします。お食事と夜景を楽しみながら会員同士の意見交換および情報交換をしていただけると幸いです。会員の皆様にはぜひご参加くださいますようお願い申し上げます。

  • 日時:2018年9月8日(土)18:00~20:00
  • 場所:ホテル阪急インターナショナル25階「ソラメンテ」
  • 会費:8,000円
  • 出欠:出席の方のみメールでのご連絡をお願いいたします。8月21日(火)までに各支部事務局にお知らせください。22日以降、出欠の変更等がある場合も各支部事務局までご連絡ください。なお、変更は9月4日(火)までにお願いいたします。

 

 

 

東京支部の研究発表の司会変更がございましたのでご注意ください。

** 懇親会の出欠については、出席の方のみメールでのご連絡をお願いいたします。8 月 21 日(火)までに各支部事務局にお知らせください。(22 日以降、出欠の変更等がある場合も各支部事務局までご連絡ください。なお、変更 9 月 4 日(火)までにお願いいたします。)

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