会長挨拶

 2021年9月19日に開催された令和3年度の総会にて、圓月勝博先生の後任として、17世紀英文学会の会長に選出していただきました。長い歴史と伝統を持つ本学会の舵取りを任されることになり、光栄に思うとともに責任を痛感しております。
 本学会は、御存知の通り、現在、東北支部、東京支部、関西支部の3支部体制で運営されています。その歴史は1950年代にまで遡り、東北支部は村岡勇先生と西山良雄先生、東京支部は早乙女忠先生、そして関西支部は杉本龍太郎先生が中心になって、各支部を確立して頂いたと伺っております。私は村岡先生の愛弟子である平善介先生に北海道大学で師事しましたので、この学会との浅からぬ縁を感じるとともに、各支部の自律性を尊重しながら、それぞれが切磋琢磨して、17世紀英文学の研究水準を向上させていくという、この学会の体制と方針をこれからも堅持していきたいと考えております。
 なお、3支部の交流は、毎年1度全国大会・総会を開催し、また近年はホームページ上でさまざまな情報をリアル・タイムで公開し、さらには学会論集を定期的に刊行することによって、維持されてきました。特に金星堂の福岡社長の特段のご理解を得て刊行し続けてきた論集は、来年5月末刊行予定の『十七世紀英文学における病と癒し』で、記念すべき第20号となります。第1号の刊行が1974年ですから、約半世紀に渡って論集の刊行を継続してきたことは、本学会の誇りであり、また会員の皆さまの不断の研鑽の賜物と考えております。
 近年のコロナ禍にあって、一旦は中断しかけた各支部の例会も、オンラインで復活しており、心強い限りです。また今年の全国大会も、事務局の尽力によりオンラインで開催され、成功裏に終了しました。「災い転じて福となす」のことわざ通り、対面とオンライン、両者の利点を生かして使い分ける新しいスタイルを手にした本学会の未来は、必ずや明るいものと信じております。来年の全国大会では、コロナが終息し、新しい論集について楽しく語り合えることを楽しみにしつつ、会員の皆さまのご研究の益々の進展を祈念して、会長挨拶とさせていただきます。

佐々木 和貴